2012年10月17日水曜日

「金のさかな」「YODAKA」2012年東欧ツアーを終えて。



おかげさまで、10月11日スロバキア・コシツエの上演をもって無事に2012年「金のさかな」「YODAKA」ツアーを終えることができました。12日は、コシツエで1日オフをもらい、13日に1日かけて電車でプラハへ帰ってきました。コシツエはプラハから650キロ、電車では8時間の距離に位置する街なのです。(写真は、コシツエ人形劇場前より)

スロバキアツアー中、私の体調管理の不届きで風邪をひいてしまい、かなり辛い旅だったのですが、もっと酷いことに直子さんとペトルに風邪をうつしてしまうという、本当に申し訳ないことをしてしまいました。おかげで、2人はツアー後に風邪でダウンです… この場をかりて、謝ります。本当にごめんなさい!!

1年近く前から準備をしだした「金のさかな」プロジェクト。まず、日本―チェコの距離の遠さと時差、アイデアを出しから実際に形にしていく苦しさと、実際に上演のためにオーガナイズする苦しさ、また、普段では舞台裏の仕事をしている自分も、音響や照明として実際にツアーに参加する苦しさなのかな?このプロジェクトを通して、本当に色々な経験をすることができました。他のプロジェクトと比べて、舞台美術以外の仕事を沢山しなければいけなかったので、仕事の達成感というか満足感は大きいです。実際の経験から学べるものより大きなものはないと改めて実感しました。まだまだ「金のさかな」は、北九州市の海峡演劇祭へと続きますが、東欧ツアーを終えて、自身の感想でも。

「金のさかな」は、願いの話です。

この話に出会って、最初に感じたことは、願いと欲の違いは何だろう?です。
多くを望むことは、果たして間違いなのか?願いに、間違いはあるのか?欲は罪か?誰かのためを思って願うことが願いで、自分自身に願った時点で欲になってしまうのか?

願いは本当に強い2面性があって、例えば誰かの願いが成就すれば、他の10人が泣いているかもしれないし、純粋に誰かを願ってしたことすらも、誰かにとっては被害でしかないかもしれないのです。少しでも現状を良くしようと思う願いや、望みは、明日を生きるための原動力になりますが、それが少しでも人より大きくなれば欲深い人・野心深いと思われてしまいます。願いという形では美しい響きなのに、欲という言葉になるとその繊細さがどこかに消えてしまう。難しい問題です。

そんな感じで、願いについて、色々なことを考えました。ただ、それを通り越した一線で感じたこと。願われる対象と願う側に対し、願いを請う側の一方通行性。私達は、誰に何を日々願っているのだろう?

日々の平穏な暮らしを望まない人はいないと思います。私達は、その平穏な暮らしを、日々、地球から海から恩恵を受けて生きています。その恩恵に対し、私達は何を返してきたのだろう?と。得るだけの一方通行では、このお話と同じ結末になってしまうのではないかと思っています。当たり前に受けている恩恵に対し、自分ができることは何か考えていかなければなりません。

余談ですが、私は製作時に音楽やラジオ、時には落語を聞いて作業しています。好きなアーテイストは沢山いますが、中でも中島みゆきさんが大好きで、「金のさかな」製作時は、「Now」という曲をかなり好んで聴いていました。「金さかな」がやっと一区切りして、余韻にひたりたいところなのですが、悲しいことに次のプロジェクト達をスタートしなければいけない状況です。頭と感情がなかなかギアチェンジできない中、今は中島みゆきさんの「命のリレー」を繰り返し聴いています。とても、「金のさかな」にリンクしています。

末尾ですが、このプロジェクトで共に走り戦ってくれた、チャークこと、谷口直子さん本当に心よりありがとうです。君と一緒に作れたから、産まれた金のさかなだと思ってます。

いつも、自由に仕事をさせてくれて、後ろから本当に大きな力で支えてくれる演出家のゾヤ・ミコトバーさん。自分の専攻分野でない映像製作を、(大変だったと思いますが)調べつつ最終的に完璧なものにしてくれた谷直輝くん、まだ見ぬ音楽の棚川 寛子さん、森山 冬子さん、本当にもったいないぐらいの素晴らしい音楽でした!会える日を楽しみにしています!!そして、プロデューサーのペトル・ムラース。最終的には、照明までできるようになりました。応援してくださった皆様。本当に心からありがとうございました!言葉で感謝は書きつくせませんが、今回のツアーで、決して一人の力では及ばない成果をだすことができたと思います。それもこれも、皆様のおかげです!

日本での上演の可能性をこれから全力で探していきたいと思います。まだまだ、とても小さい規模ではありますが、「金のさかな」に託した私達の願いが、一人でも多くの人に届けばいいなと願っています。あっ、これも願いだ!

まだまだ、続きますが、一区切りなのので、もう一回言わせてください。
本当に皆様。ありがとうございました!

由未

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